岐阜県大垣市の音楽コンクールの審査に行ってきました。
コンクールと言っても、
ここは審査員から持っている資質や才能、
頑張ってきたその道のりを讃え、褒めてもらえるコンクール。
ですから、一般のコンクールとはちょっと違います。
思えば、もう10年くらい前になるでしょうか?
岐阜のピアノの先生、松波知子さんと
コンクールの在り方と評価について語る機会がありました。
出場する方も、
もっと自由に、もっと人前での演奏を恐れず、自己主張できる
そんな場があるといいよね・・・
熱く語っているうちに、
「ない」なら「作ればいいんじゃない?」
ということで出来たのが、HANAMIZUKI芸術フェスティバル。
テーマは「感動」
ピアノだけでなく、声楽や歌や弦楽器、指揮、舞台監督、ジャズなどなど、色々なジャンルの審査員がいて、
色々なジャンルの演奏があって、
その中でも「1番感動した演奏」に芸術大賞が贈られるのです!
もちろん、テクニックの素晴らしさで審査員を感動させることができたら、それも一つ。
でも、不思議なことに
大賞のほとんどは、上手い・・というよりも、
審査員の心を奪うような説得力と人間味のある演奏。
時には、審査員全員を泣かせてしまうほどのパワーを持った演奏が登場しました。
そしてほとんどが、全員一致の結果でもありました。
その後に生まれた妹バージョンが、
今回私が審査させていただいた「小さなたねとつぼみコンクール」です。
こちらは、ステージで弾くって怖くない!
もっともっと上手になって、また出てみたい!
そんな気持ちを生み出し
大きく膨らませ、
最初の一歩を応援する<評価のないコンクール>なんです。
どんなことが起きても大丈夫だから、
安心して弾いてごらん。
なぜなら、審査員は良いところを見つけるために聴いてくれる。
そして、そこを褒めてくれる。
100%保証されているから安心して弾いてみて!
だって、考えてもみてください。
やっと歩けるようになった赤ちゃん。
みんなの前で歩けるところをお披露目〜〜となった時に、
もし転んでも、
「なんで転ぶの!転んじゃダメじゃない」って叱りますか?
あ〜〜残念!って、みんなで笑って、
よし、よし。痛かったね・・
もう1度歩いてみよう。
頑張れ、頑張れって応援してあげるでしょう?
それと同じように、
ステージに上がって人前で弾いた時も、
応援の眼差しで見たいじゃないですか。
だって、ステージで弾くって、
自意識も働くから、結構ハードルが高いんですよね・・・
失敗したとしても、
それは自分が1番よくわかっている。
じゃあ、どうすれば良いの?
それは後から、先生に教えてもらってレッスンで学べばいいものね。
だから、このコンクールの場合、
審査員の役目は、
どんな演奏も丸々愛で包むこと。
「今回で終わり」じゃなくって、
次回、またその次と、継続していけるための効果的な言葉をかけること。
演奏者の夢と希望を膨らまし、期待をかけることなんです。
私は、そんな風に思って審査していました。
今回は、ピアノ、ヴァイオリン、歌と24人のみなさんが
チャレンジ。
コチコチに固まっている小さな女の子・・・
間違えちゃってパニックになりながらも懸命に探っている男の子・・
曲が短い!!
ひゃ〜〜どうしよう・・と思いつつ、
でも、良いところだけに焦点を当てて聞いていますので、
悪いところをキャッチすることもなく、
一人一人全員違う温かみのあるメッセージを送ることができました。
そして、
最後の講評では、
私のメンターから教わった極意を伝授。
<気持ちを整えてピアノに向かう時>と、
<投げやりな気持ちでピアノに向かう時>では、
こんなにもパワーが違う!
それを舞台の上で実験して、
みなさんにみていただきました。
これをみていただいたご父兄の皆さまにも、
どうぞ子供の心を乱すような叱り方をしたり、
褒めるとしても形だけ・・とならないよう、
丁寧に接していただけるようお願いしました。
きっと納得していただけたんじゃないかな?
身を乗り出して聞いいてくださるみなさん。
本当に嬉しいです。
終了後のロビーでは、
「先生!あれやって、あれやって・・!」と子供たちにせがまれて
私も大人気!
楽しいひと時を過ごしました。
HANNAMIZUKI芸術フェスティバルと小さな種とつぼみ音楽コンクールでは、
立ち上げのお手伝いをさせていただいた後、
NYからは、応援することしかできませんでした。
でも、松波先生がスタッフの皆さんと一緒にこの精神を大切に育ててくださってきたことを肌で感じることができて、しみじみと嬉しかった。
これからも形を変え続け、
みなさんに場の提供をしていくそうです。
とっても楽しみですね!
さて、HPには受賞者のビデオが掲載されているのですが、
こちらの演奏は、2015年の大賞受賞者のお一人・・・
いや〜〜
かっこいいです!
こういう演奏をもっともっと聴きたいし、広めて欲しいなあと思いました。