85歳の父から『電話をください』というメールで心がざわつきました。
はやる気持ちを抑えて電話をしたら、昨年の母の手術の経過が良くなく、8月末に再手術をするので、
戻って来てもらえないだろうかとのことでした。
話を聞きながら、母は大丈夫という確信を持ちましたが、
すぐにロンドン行きのチケットをキャンセルし、
手術に合わせて一時帰国することに決めました。
母と父を支えよう。
むしろ、私が役立てることに喜びを感じました。
その時は、心が強くなったなぁと思ったのですが、しばらくしたら、いろいろな思いが黒雲のように押し寄せてきたのです。
こんな時は、自然の中に身を置いて癒してもらいます。
セントラルパークへと向かいます。
緑の中を歩いたり、野草に癒されて。
道草を食うお馬さん。
かわいいなあと思いますが、心は笑っていませんでした。
夏のマンハッタンでは、歩道に椅子が出ていてお食事できます。
前から入ってみたかったお店に座って、心を整えようと思いました。
『ああ、ついにこんな日が来てしまった』
娘として、母や父への思いがあふれ出します。
今回の手術のおかげで、海外20年で離ればなれだった家族が結束する機会でもあります。
でも、満たされなかった思いも顔を出し、
母の言動の不一致に振り回される恐れなどが複雑に絡まりあい、
食欲がなくなっていきました。
ついに頭も痛くなってきたのでレストランを途中で出てしまいました。
夕食を作りながら、ハルカには「お母さん、グランマの入院の話、3回もしているよ」と言われましたが、
入院する話は聞いてもらっても、私の複雑な気持ちまでは聞いてもらっていなかったなあと思いました。
誰かに気持ちを聞いてもらうことで、整理したかったのですね。
一人で抱えきれずに頭が痛くなっていたのです。
食後。
ハルカが、しっかり向き合って私の話を聞いてくれました。
ジュリアンからの電話を断ってまで!
彼女は、私がドキッとするようなことを言う時があります。
お母さん、私たち家族3人は、これが普通だと思っているでしょう?
でも、こんな家族は稀なんだよ。
ハルカはこの家に育ったからこの家族しか知らないけれど、争いが全くないなんて、きっと特別な家族なんだと思うよ。
だって、何でも話せるでしょう?
家族の誰が何をしてもオッケーだし、応援しあえる、とてもシンプルな関係でしょう?
でも、お母さんが育ったお家は、そうじゃないから。
苦しいよね。
刺をいっぱい出して、赤いお花になりたいと言って怒っているサボテンは、
一生その夢を叶えてあげることはできないんだから。
無理なんだから。
お母さんは、なにもやらなくてもいいんだよ。
むしろお母さんは、そこから学ぶことが出来たから、新しい家庭を作ったんだね。
なんで、この子はこういうことを知っているのかしら?
と思いつつ、
ああ、刺をいっぱい出して、人を信じることが難しいサボテンに、
私は何ができるのだろう。
深く考え込んでしまいました。
でも、翌日。
頭痛を抱えながら、のり子さんとスカイプで打ち合わせをしたり、
セッションをするうちに、
私は「今、できること」に集中しだしました。
モヤモヤと考えることをやめたんです。
気がついたら、重い気持ちや疑い、戸惑い、恐れは消え去っていました。
すべては、心を整えるために起こったつむじ風。
色々あるけれど(あったけれど)、
過去や未来のことで心を濁していては、
何よりも自分へのダメージが大きい。
そのことに気がついた時、私は、心の暗闇から光の世界へと戻ることができました。
私たちは、また、新しい企画の本を作りはじめています。
何と、6冊のシリーズです。
今日は一日中、この本の構成を考えて過ごしました。
そして、実は別の本の企画もあるのです。
まさに、7連峰をめざします。
8月の末までに形を整えて、一時帰国の際には、出版社にプレゼンに行けるようがんばらなくっちゃ。
今夜はお友達のご夫婦とダブルデート。
やることやったし、いっぱい楽しんできます!