セミナーの後向ったのは、阿蘇のふもとの山の中の温泉でした。
垂玉の滝の横の露天ぶろは、私一人でした。
そこでは、滝の轟音の下、思う存分声をあげて泣くことができました。
そして、宿の図書コーナーで偶然手にした一冊は、辻仁成の白仏でした。
亡くなる時、体から魂が抜けていくシーンがあり、片山コーチのことを想って、また泣いてしまいました。
きっと何か意味があるのだろう・・・
そう思って、その本を1冊読み終え、また夜の露天風呂に出かけていきました。
滝の音、風の音、秋の虫の音、桜の葉の香り、風の香り、空に浮かぶ月。
魂のことを考えました。
自然に囲まれた中で、私が思い出したのは、片山コーチとの楽しかった思い出ばかり。
そして、偉大なコーチに育ててもらったことに感謝の気持ちが胸がいっぱいになって、今度は暖かい涙が流れ続けました。
67歳。
なんて惜しい。お迎えが早すぎる・・・と多くの人は思うかもしれません。
でも、誰よりも人生を全うした片山コーチ。100%見事に完走です。
コーチとのセッションのすべては、私のノートに残っています。
そして、片山コーチのご家族を愛する姿、男としての立派な考え方と行動は、私の夫にも大きな影響を与えて下さいました。
ハルカに対しても「あの子は幸せになりますよ。笑顔がいいから」って、
いつもの明るいメリハリのある声で言って下さいました。
私たちに温かく大きなエネルギーを与えて下さった片山コーチのことを心から誇りに思い、
その日は、深く眠ることができました。
翌日の朝は、歩いて7分の地獄温泉へ。
「名前は地獄だけど、露天風呂は天国だけん!」
混浴の温泉の中、だみ声のすっぽんポンのおばあちゃんが機嫌良く笑う声が、明るくこだましました。
温泉好きの片山コーチの魂も、ぜひ湯あみに来てほしいような結構なお湯でした。