長野の駅に降りたとたん、空気の美味しさを感じました。
今回は、ステップの審査で初めての長野を尋ねています。
少し早く到着して、善光寺へと足を運びました。
門へと続く道は、黒瓦と白壁の蔵のような建物と明治時代のようなモダンな建物が並び、おしゃれな感じです。
名物のおやきや唐辛子のお店、栗羊羹や日本酒など美味しそうな物がいっぱいです。
善光寺の中に「お戒壇めぐり」と言ってご本尊の下の真っ暗な回廊を通り極楽の錠前を探り当てる道場があると聞いていたので、ぜひ体験したいと思っていました。
本堂内の階段を降りていくと、そこは漆黒の世界。
前も後ろも全く見えないので、手探りで壁をそろりそろりと伝い進みます。
こんなに真っ暗闇の中に佇むのは初めてのこと。
進むうちに神経が研ぎ澄まされ、聴覚・嗅覚・触覚が敏感になってくるのを感じました。
ふと、ショッパンコンクールで頑張っている伸行君の事を思いました。
彼は、生まれた時から見えない世界で、音と触れ合って音楽の世界を築いてきたのか。。。
尊敬にも似た深い気持ちが押し寄せてきました。
見えるようで、大切な物を見ていなかった私。
見えないけれど、澄んだ心を持った伸行君。
何分歩いたのでしょうか。
ガチャっと錠前に手が行きました。
秘仏との結縁です。
生まれ変わったような気持ちで、明るい外に出ると景色が新鮮な色を帯びて見えます。
とても貴重な体験でした。
長野ステップでは、ジェントルマンの渡辺先生と黒い大きな瞳が印象的な福田先生とご一緒でした。
お二人が並ぶと、ピアノ界の大御所オーラが発され新参者の私など、くらくらしてしまいます。
でも、お話してみるととっても気さく。
お二人とも日本酒が大好きな事もわかって、なんだか嬉しくなってしまいました。
ステップの審査は、先生方の魅力も知りえる素敵な場だと思いました。
美しい自然・恵まれた環境・マナー良くまじめに勉強している子供達・暖かい先生方のハンドベルのハーモニーがホールに溢れ、なんとも気持ちのよいステップとなりました。
帰りの新幹線で食べようと買った野沢菜おやきとシメジ野菜のおやきを手に長野連峰を見上げ「今度。何時これるのだろう・・・」ちょっと感傷的な気持ちになる私でした。