Riezm Academy

☆蝶々夫人審査当日ドキュメンタリー

出張している夫からも「直穂子さん、すごいね〜!」と喜びの声が届き、
ハルカも「応援に行くしかないッ!」と張り切り、
直穂子さん優勝のニュースは、青木家にとって大きな喜びです。

無名の日本人のオペラ歌手が、本場のイタリアでやっていくことは想像を絶するほどの大変さ。

そんな苛酷さをすべて愛と感謝に力のある人が直穂子さんです。

直穂子さんのお人柄があらわれている文章をご紹介しましょう。

2次審査のお知らせと一緒に送られてきた日記、審査当日のドキュメンタリーです。

〜〜〜

登川直穂子

(ブログ代わりに、日記を書きます。興味のある方は読まれて下さい)

6月7日(月)
オーディション開始時間は9時半、それで5時間前の4時半起床、
指定された場所に8時半到着。やはり早すぎました・・・
門が開いたのは9時、開始は11時でした。笑 

一次審査を通過した歌手たちが集合、皆、「今日は何を歌うのか」分からない状態。
要項には1幕の二重唱と、2つのアリアと書かれていましたが・・・
録音機材を抱えた男性たちがセッティング開始、審査員到着10時。

録音テスト時にピアニストがいなかったので、私が弾く事になりました。
ピアノが褒められて、嬉しかったです。

10時半の準備終了後、審査員とスタッフはお茶を飲みに行きました。笑

音出し出来る唯一のお部屋は、一人のイタリア人女性が長時間占領、
誰一人入ることは出来ず、トイレで発声を少ししただけで、
11時に録音開始となりました。

私は次の日、ローマの地元で演奏会だったので、早く帰宅するために
一番最初に歌うことになっていました。
身体も喉もあたたまらないまま、録音突入となりました。
寒い廊下でした。
外が暑かったので、羽織物を忘れたことを反省しました。
イタリアの建物は、内部が涼しいことが多いのです。

「ある晴れた日」のアリアをピアノ伴奏で歌うことを聞かされました。
ちなみにピアノはヤマハのグランドピアノでした。
一次審査は指定されたカラオケ・オーケストラ、これに合わせるのも大変でしたが。
ピアニストとの合わせ、打ち合わせも無し・・・
嘆いても仕方ありません。
今回はピアニストとの共演、それぞれ個性が感じられる音楽になったはずです。

大きなマイクが口元から20cmのところにあり、
大きなカメラが正面1メートル先にありました。(今回はアップが多いかも)
ライトがいくつもあり、まぶしく、視界がない状態・・・

「マイクを少し離していいですか?」と訴えました。

審査員は、右横から後ろにかけて座りました。
演奏開始、ドキドキしたまま初回を歌い、納得がいかなくてションポリ。

2回まで録音してよいということで、再度お願いしました。
2回目は状況に慣れたものの、頭で考えた演奏になり、
新鮮さがまるでなくなりました。
どちらかを選ぶように言われ、仕方なく初回を選びました。
3回出来たらよかったのですが。笑

それでも歌い終わる度に拍手を下さり、室内はとてもよい雰囲気でした。
歌い終わり、廊下に出た瞬間、他の歌手たちから「ブラーヴァ」の大拍手。

お礼を言い、タクシーで駅に向かいましたが、涙があふれ、
ピアニストの師匠に電話をし、励ましてもらい、なんとかローマに戻りました。

どんな条件でもベストな演奏が出来なければならないのがプロです。
自分の未熟さを、今回も思い知らされました。

そんな録音を皆様にお届けすることが、正直、恥ずかしいのですが、
6日間の投票をどうぞよろしくお願いします。