生徒さんもハッピー、親御さんもご満足。
レッスンも人間関係も、とてもうまくいっているピアノの先生がいらっしゃいます。
今日は、そのA先生のことを書かせてください。
A先生とはコーチさせていただいて6年半になります。
6年半の長い間で、A先生のレッスンは大きな変容を遂げられました。
A先生は、もともと指導力もあり、熱心で生徒に愛される先生でしたが、
レッスンシステムもお月謝も、ごく平均的なピアノの先生と同じでした。
でも、「ぴあれんキッズ」や「ぴあれん手帳」を毎年繰り返してお使いいただいているうちに・・・・
生徒さんがどんどん練習してこられるようになって、
うっかりお母さんが新しいぴあれんキッズを買い忘れると、自分で時計の絵を書くような子どもまで現れるようになりました。
セミナーでお話ししたり、ご紹介したこともあるので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。
さて、今日のセッションでは「手放す」をテーマにコーチングがスタートしました。
そこで、久しぶりにお教室の近況を伺って、びっくり!
現在、100人以上の生徒さんがいらっしゃるのですが、お断りしても、お断りしても、入会希望者が後を絶たないので、
(これに関しては、数年前に月4回レッスンを3回に減らし、レッスン時間を30分から20分に変えて対応してきたのですが)
今年から、月1回レッスンなら、お受けしてみようか・・・とおっしゃるのです。
もちろん、月1回レッスンでは、進み具合は月3回の生徒さんより、遅くなります。
でも、「比較をしない」というお約束。
納得していただける方だけに来ていただこうと考えています。
このことは、急に思いついたわけではなく、
実は、A先生のところには、月2回、3回の生徒さんよりも、よく練習してくる月1回レッスンの生徒さんがいるそうなんです。
1カ月に1回30分のレッスンを2年間続けているB君(幼稚園年長)です。
え?幼稚園児に月に1回だけのレッスンって?
私も聞いたことがない!
興味津津です。
B君、それはそれはちゃんとやってくるそうで、このたび10級のグレードも合格しました。
う〜〜ん。それって、親が家でがんばらせているんじゃないの〜?
チラリと脳裏をよぎる声・・おっと、これではコーチ失格。頭をニュートラルに切り替えます。
ところが、B君が「ママ来ないで。先生と2人がいい」と言うので、
レッスンをスタートして半年過ぎたころから、親の付き添いはなくなりました。
B君、ものすごく真剣にレッスンを受けるそうです。
A先生がレッスンで心がけていることは、
①ワクワクすることを準備
②レッスンの最後に「また先生を驚かせてね!」
と言うこと。
するとB君は、次のレッスンが楽しみで楽しみで、一杯練習してきます。
先生を驚かせようと、どの曲も万全の準備をし、全調で弾けるようにしてきます。
自己申告制の宿題の表もバッチリ埋めてくるのです。
でも、あまりにも沢山曲をもってくるので、30分レッスンでは、時間が足りません。
そこで、B君が聞いてほしい曲を中心にレッスンします。(先生の弾かせたい曲、チェックしたい曲じゃないところがステキ)
この小さな生徒さんからA先生は気づかされます。
世間一般で言われている
「子どもはわからない。だから、手と時間をかけないとダメなんだ」
というのは自分の思い込みだったと。
自分の不安な思いがあるから、時間をかけたくなるんだと。
そして、子どもを信じきり任せた結果、どの子も伸びていきました。
なので、グレード、コンクール、受験前の補講も出来るだけしません。
発表会も全員が10回のレッスンで仕上げると決めています。
もし、間に合わなかったら「準備が悪かったね」と言うだけ。
すべて自己責任。
間にあわないから、「先生助けて〜」
また、
直前になって、「レッスンお願いします」
とといっても補講はしません。
もちろん、A先生の方からも
「間にあわないから補講しましょう」
ということもありません。
コンクールなどで
「曲が多くて間に合うかどうか心配だ〜」
という生徒さんには、数ヶ月前に補講の予約をしていただいているそうです。
A先生の素晴らしいところは、
常に
「社会で通用する人に」
という視点をお持ちのところです。
社会に出て、仕事や提出物が間に合わなかった時に、
「ピアノの先生はやってくれたのに・・」では、ききません。
人生は1回。
本番も1回。
失敗したら、またチャレンジすればいい。
ですから、コンクールで予選を通過するために、あちこち受けに行くということはさせません。
ベストを尽くしてもダメだった時、その失敗を受け取る強さを身につけて欲しいとおっしゃいます。
そういう精神の先生のもとでは、親も子も覚悟が決まるのでしょうね。
自分で考え、工夫して、練習してきます。
だから、生徒さんが伸びます。
やめる子はほとんどいません。
そんな、わが子ががんばる姿を見て、親は頼もしく思います。
私も驚いているのですが、月3回、20分のレッスンだというのに、全国大会に出場する頼もしい生徒さんが大勢おられるのです。
さらにユニークなのは、発表会。
なんと、参加者は希望者のみで、先着順です。
定員になったら、締めきってしまいます。
出ても出なくても自由。
本当に出たいと思った時に申し込んだらいいという考え方です。
毎年、覚悟の決まった生徒さんだけが参加するので、それはそれは聞きごたえがあり、お客さまもいっぱい!
会場は補助椅子を出すほどです。
生徒さんの自主性が育ち、親御さんが上手にサポートできるようになると、本当に楽。
だから今、ストレスやがまんしていることが全くないですね〜とA先生。
HPなく、宣伝もしないお教室ですが、
ほほえましいのはお教室の生徒さんが学堂保育の時間にお友だちにピアノを教えはじめ、
そのツテで、月に1回でもいいから習いたいという生徒さんがやってくること。
生徒さんが連れてきちゃうから、お断りできないです・・・
困ったような、嬉しいようなA先生です。
さて、A先生が、2013年に手放すのは、月3回レッスンです。
特に勉強や部活で忙しい中学生や、経済的にきつそうなお宅に、さりげなく声をかけて、
月2回レッスンに移行してみませんか?とおっしゃってみたいそうです。
2回レッスンでも、十分成果は出せると確信を持っています。
そして、自由な時間をもっと自分のために。
といっても、セミナー行脚、公開レッスン通いをするのではありません。
仕入れた情報を子どもにそのまま流しては、意味がないと考えています。
もっと自分を信じて、
レッスンを工夫していきたいとおっしゃいます。
だから、フリータイムは出来るだけ自分がリフレッシュできるよう、趣味のスキ―や着つけを楽しみ、
いつもニュートラルで余裕のある状態になって、生徒さんと向き合いたいそうです。
ステキなA先生。
これからどのように進化されるのか、私もワクワクしています。