このアパートに入居して、5カ月が過ぎました。
アパートの面接に合格し、入居が許可されるまで、薄氷を踏む思いでした。
なんとか、住民の皆さんのお仲間に入れていただけたので、私たちもアパートの皆さんとうまくやっていくよう気をつけています。
でも、ちょっと困ったことがあります。
私がピアノを弾くと、お隣の住人が、急にテレビのボリゥムを上げるのです。
その音量の大きさといったら!
NYの法律では夜11時まで弾いて良いそうなのですが、いつか帰国する身だし、
ちょっと個性的に見える(?)お隣住人の方と争いたくはありません。
ですから、この5カ月は、ピアノはあまり弾かず、弾く時も弱音かヘッドホンを使って弾くようにしきました。
せっかく緑の見えるステキなリビングなのに、このアパートに生徒さんに来ていただいてレッスンできないな・・・・
あ〜〜〜とガックリしそうな気持ちを腹底で支えます。
で、どうする?
自問自答します。
仕方ない。仕事は、コーチングをメインにして、出張レッスンのご依頼があれば無理のない範囲ですればいいじゃないか!
そう心が決まった時は、気持ちが明るくなったほどです。
踏ん切りをつけるって、大事だな〜と思いました。
とはいえ、この5カ月間、お隣の方とも御挨拶をしたり、お隣の犬のクッキーの頭をなぜるなどして、
少しずつ、少しずつ信頼関係を築いてきています。
あと少し。
もう少ししたら、「私のピアノ、邪魔にならないかしら・・・」と切り出してみるつもり。
私も諦めたわけではありません。
さて、昨日は、このアパートの主でもある8階のおばあちゃま、エレノアのお宅にお茶に伺いました。
不思議と、私はエレノアの英語がよくわかるし、エレノアも私の話を喜んで聞いてくれます。
昨日は、年取ってきた日本の両親のことで、気になっていることを聞いてもらいました。
私は、アメリカ人の皆さんのように、ハルカに伝えていくべき家族の歴史をほとんど知らないの。
今は元気だけど、もし両親が急に亡くなったりしたら、途切れてしまうわ・・・
と、私。
エレノアは、
う〜〜ん。日本人は、あまり人に言わず、自分の中に留めて置くところがあるからねぇ。
フォーブスなどの雑誌の取材で、日本人にインタビューをしてきた彼女は、日本人のことも良くわかっています。
特に、戦争の時代に生きた人は、多くを語りたくなかったりするものよ。アメリカ人と文化が違うからね〜。
と、エレノアは、おでこに皺をよせながら唸りました。
でも、いいことを教えてあげるわ!ご両親にインタビューして、録音しておくのよ。正確で立派な先祖のヒストリーじゃなくってもいいの。
思いっきりでっち上げた話しかもしれないけれど・・・・
ほら、私もそうだけど、年を取ると、なにかと思い込むからね。
でも、生の声で語られた録音は、子孫に残せる宝になるでしょう?
パパの幼稚園の頃の話をきかせて?
どんな家に住み、どんなことをして遊ぶのが好きだったの?
人生で何が1番悲しかった?
何が1番嬉しかった?
子孫に伝えたいことは?
初恋の話も聞かせて!
そんなので、いいのよ
そうだ!
それなら出来る。
私は嬉しくなってドキドキしてきました。
と同時に気が付きました。
私自身の小さい頃の話もハルカに、あんまりしていなかったな〜って。
何だか、毎日生きるのに忙しかったけれど、どこかで1度きちんと時間を取って、
私の人生の物語を聞かせておきたいなあ〜と思いました。