第20回,リカルド・ビニュス国際コンクールで重野友歌ちゃん、優勝!
そして、今回のスペインでの3回のコンチェルトはコンクールの大きなご褒美でした。
辛い事がいっぱいあっても、いつかこんな日が来る。
私はコーチとして確信していたからこそ、
彼女を支えることができたのだと思います。
そのくらい、彼女の音楽人生はまるで神様から試されるのかのごとく試練の連続でした。
重野友歌ちゃんとのセッションは、
彼女がメニューイン音楽院を卒業して、
英国王立音大に進んだ時からハンブルグ音楽演劇大大学院に進むまで続きました。
一見、明るくフレンドリーに見える彼女ですが、
実は内面はとてもナイーブ。
また、どこかで引寄せてしまった自信のなさが重くのしかかり、
それが連鎖して、いろいろな苦労を引寄せていました。
そんな中で、私たちは、一歩一歩、光を信じて進み続けました。
セッションはいつも真剣勝負の本気のセッションでした。
逃げたい現実から、目をそらさず自分の現状を見てもらうために、
ああ、失敗だ〜〜〜と、
どこまでも落ちる友歌ちゃんの視点を変え、
これはチャンスなんだ。
ここから、もう1度真っ白な気持ちでスタートしようと、
どれほど勇気付けたかしれません。
また、素晴らしい評価をもらっても、
心から喜ぶことが難しかった彼女に、
これが、今の友歌ちゃんなんだから、
本当の姿なんだから、
喜んでギフトを受けとってもいいんだよと、
何度も何度もリクエストしました。
不器用で、手が小さくて、
自己価値はまだまだ低かったけれど、
深く深く音楽とつながることのできる才能の片鱗が見えました。
おかあ様もピアノ教師で、
小さい頃から姉妹でピアノの道を進んで来たけれど、
本当にこの道を歩んでもいいのだろうか。
彼女は悩みに悩んでいました。
でも、手の故障をきっかけに、
本当は、自分は音楽を深く愛していたことに気がつきます。
その瞬間は、まさにヘレン・ケラーのwater状態。
そして、気づきの瞬間に立ち会うことができた私は、本当に幸せ者です。
その後も、試練は続きましたが、
彼女は、沢山迷い、寄り道をしながらも、
自己責任で決めて前に進み、
その体験はますます彼女の音楽性をドラマチックに高めていきました。
コンクールの優勝は、
一人でやってみたいとコーチングも卒業した後に出した成果です。
我が娘を遠く広島から見守った重野美樹先生。
どれほど,心配だったことか。
娘を信じる強い気持ちが痛いほどに伝わる母心って、すごいです!
本当に強いです。
実は、この写真をフェイスブックで見かけた私。
早速、音源を送ってもらいました。
友歌ちゃんの奏でるラフマニノフのパガニーニは、
活きいきとしたパワーに満ちあふれ、
オーケストラをリードするほどの魅力のある演奏。
演奏も精神性も成長したその姿に、私は涙が止まりませんでした。